■第5回 「ここはどこ? わたしはだれ?」

「距離500、オレンジ14マーク・・」って、どこでそんな言葉を覚えたのでしょうか?
 先日、近所のスーパーで賞味期限切れ直前の激安コーヒー豆を発見。さっそく会社で淹れてみたら、なんか味が妙。そらそうだ、アイス用のフレンチローストをホットで飲んでいたんだから(爆)。でも馴れると病みつきな味の今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。 『ガンダムSEED』の放映も、残すところあと1ヶ月。物語もいよいよ煮詰まって、もとい、大詰めを迎えております。この原稿を書いている時点で、アフレコはあと3回を残すのみ。アフレコといえば、ふつうはスタジオの片側にモニターとマイクが設置されていて、その向かい側に声優さんのための椅子が並べられているてな感じ。ところが、つい数日前に行われた収録では、椅子がまるで卒業式の講堂のように並べられておりましてその数、30数脚。まるでこれから、記者会見でもあるみたい、といえばわかりが早いか。目を丸くしていると、やがて控えのロビーに次から次へとやってくるくる、声優さんたちが。あわててAR台本を見直すと……
ううむ。たしかに、キャスティングされている。レギュラーも含めて30名以上のキャラクターが。これって、TVシリーズのアフレコでは記録物の数字ではないかと思ったことでした。9/6放映の47話は、そんな雰囲気の中でアフレコが行われていたことを想像しつつ見ていただければ、また感興の方もひとしおかと。

こんな短期間で・・・、ひょっとしてあいつもコーディネイター?
 それにしても、声優さんたちの立ち位置、というかマイク前への移動のタイミングというのは、何気ないようでいてまさに手練の技。とくにSEEDのようにレギュラーが多い現場だと、その移動風景はまるでフランソワ・トリュフォー監督の『華氏451度』のラストシーンみたいな光景になるわけです。交通整理のためには、自分と他者との位置関係をちゃんと把握してなきゃならんのですね。本番中に渋滞したり衝突したら、目も当てられないことになる。
 そこで今回は、この強引なネタ振りを枕に、宇宙空間における位置表示の話などをしてみようかと思います。そう、SEEDの中でもよく言っている、「距離500、オレンジ14マーク23、アルファ」てな奴ですわ。あれ、まったく適当に出鱈目を言ってるんではないのよ。

いくら座標がわかっても宇宙は広い!迷子にならないように集団行動です。
 現実の宇宙で位置を表すといえば有名なのは赤緯・赤経とか銀緯・銀経なんてな表記法。これらは天体の配置を示す座標です。うんと大雑把に言えば、赤緯とかは地球から天球を仰ぎ見たときの位置表記で、銀緯とかは銀河系内の天体の位置を示すものだと考えときゃいい。詳しく知りたい人は百科辞典を引きましょう。とにかくここで大切なことは、これらの座標系がどれも、SEEDで描いているような宇宙戦の現場ではあまり役に立たないということなのさ。 そこで特殊設定家の出番が来るわけですが……以下、次回。
■著者プロフィール・森田 繁(もりた しげる)■
スタジオぬえ所属。学生時代に『ガンダムセンチュリー』の編集に参加し、そのまま業界入り。『超時空要塞マクロス』を皮切りに様々なアニメーション、実写、ゲームなどの企画に携わる。時には小説も書く。『∀ガンダム』で設定考証、『ガンダムSEED』では特殊設定と脚本を担当。